月別アーカイブ: 2017年9月

[短歌]魂を置き去りにしたトンネルで乾いたままの僕の口笛

命を懸けて、なんて言ってしまったものだから、魂はきっと青いトンネルに残ったまんまなのだろう。あれからの永遠、同じようにはもう、口笛を吹くことはできずに。

魂を置き去りにしたトンネルで乾いたままの僕の口笛


[短歌]旋律に祈りをこめて伝えます僕の和音になってください

旋律に祈りをこめて伝えます僕の和音になってください #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #鍵盤

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YESから始まった、それはとても美しい奏で。未来とか約束という言葉を多用して、この響きを永遠のものにしたがった。音楽で伝えようとしたことを気障だと笑うかもしれない。照れ隠しだったんだ。

旋律に祈りをこめて伝えます僕の和音になってください


[短歌]あいだには小さな川がありました やがて渦へとなりゆく川が

価値観の相違は気付いても気付かない顔をするにかぎる。埋めようとすれば、渦になって、ふたりを深く傷付けてゆく。でも、僕のものにしたがったんだろうね。全力で埋めようとしてしまった過ちのことを、穏やかに流れる小さな川を渡るたび、思い出してしまう。

あいだには小さな川がありました やがて渦へとなりゆく川が


[短歌]「ただいま」を待ってしまった詩人です秋の優しい風は痛いね

「ただいま」を待ってしまった詩人です秋の優しい風は痛いね #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩

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強くなって待ってる、そうしていつか「おかえり」で迎えてあげると言って、絶対に来ない未来を信じたがった頃がある。失うときは、この喪失がほんのひとときの気の迷いだと思いたがるものなのだ。今でも秋の風が過ぎるたび、続編を妄想してしまうことがある。

「ただいま」を待ってしまった詩人です秋の優しい風は痛いね


[短歌]傷口を時間が撫でていきましたもう永遠に癒えない傷を

傷口を時間が撫でていきましたもう永遠に癒えない傷を #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #思慕

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思うに、そんな簡単に傷は癒えてしまうんだろうか。もし、そんな風であったなら、きっと詩なんて書いていなかっただろう。いまを形成している必要な傷。これからを構成していく必然だった傷。

傷口を時間が撫でていきましたもう永遠に癒えない傷を


[短歌]数えたり比べたりする幸せじゃ駄目だったんだ フクロウ飛んだ

何かと比較する幸せじゃなくて、絶対的なものが必要だったんだと今なら分かる。結局僕は、最悪よりはマシだろうという程度の優しさだけで何かをしてあげられた、そんな気持ちになっていた。クロウノナイフクヲアゲラレナクテ。

数えたり比べたりする幸せじゃ駄目だったんだ フクロウ飛んだ


[短歌]足もとを見つめ直して誕生日世界が丸くありますように

25歳のころに考えていた41歳は、もっと大人でもっと落ち着いているものだった。相も変わらずパンナコッタが大好きで、きゃーきゃーと甲高い声でふざけあっている未来のことは、これっぽっちも想像しなかった。世界に目を向けると、すこしだけ、乱暴な空気に纏われるようになった気がする。ここからの未来、平和はどんな風になるんだろう。

足もとを見つめ直して誕生日世界が丸くありますように


[短歌]ゆびきりの語尾をしまったポケットを裏返しした夏のサヨナラ

とてもとてもとても、約束が好き。「だって約束したじゃないか」なんて恨み辛みは通用しないってこと、分かっちゃいるんだけどね。ポケットには約束の言葉たち。もう無効になってしまうことを知っていて、僕はその背を見送ったのだった。

ゆびきりの語尾をしまったポケットを裏返しした夏のサヨナラ


[短歌]この先の危険はきっと蜜の味選ばないのは死ぬということ

この先の危険はきっと蜜の味選ばないのは死ぬということ #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩

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リスクとリターンは背中合わせ。選ばず、踏み込まず、悶々と一生を後悔に支配されて死んでしまうくらいならば、僕は己の勇気を試してみたいと思う。何度も後悔した記憶。だから次はね。

この先の危険はきっと蜜の味選ばないのは死ぬということ


[短歌]咲くことも咲かないこともあるでしょう風は覗いた祈りのかたち

咲くことだけを約束しあった仲間たちも、そのうち、傷をなめ合う仲間同士になる。すべての夢が叶うわけはない。でも、叶えば祝福で、叶わなければ慰め合う、そんな仲間の価値は貴い。青春に吹く風は、若者たちの祈りのかたちを静かに覗いていた。

咲くことも咲かないこともあるでしょう風は覗いた祈りのかたち


[短歌]失ったものを描けば青だけが足りなくなるね青が、遠いね

いくつになったから青春は終わるというのではなく、失っても痛みを伴わなくなったときが青春の終わりなんじゃないかと思うことがある。弱いね、と言われるけれど、ずっと青春を生きているのだと思えばこの痛みも青の象徴だ。たくさんの青を生きてきたから、うんと、青が足りない。

失ったものを描けば青だけが足りなくなるね青が、遠いね


[短歌]交わったのはひとときの夢でした今日も世界は過ぎていきます

点と点が複雑な線に乗り合わせて、待ち合わせのように同じ場所でひととき、交わったのでした。あれから遠くなって、世界はゆっくりと、何事もなかった顔で過ぎていきます。混線した場所から解き放たれて、拝啓、その後、お元気ですか。

交わったのはひとときの夢でした今日も世界は過ぎていきます


[短歌]美しい傷だと今は思います美しいから悲しいのです

人生のあちこちに絆創膏があります。触れて詩にしてみることはありますが、ぜんぶを剥がしてしまうと、傷口から一気に昔に向かってしまいそうで、その勇気はありません。細胞は死ぬまで、美しい思い出たちを抱えて過ごすのでしょう。

美しい傷だと今は思います美しいから悲しいのです


[短歌]ひとりでは出来ないことを伝えあうそんな素直であれば良かった

助けてよ、とか、一緒にしようよ、とか。頼られて、自分は、これだけ嬉しいのだから、きっと同じように頼って、甘えたらよかったんだろうね。迷惑になるんじゃないかという躊躇が僕を素直から遠ざけて、結果、後悔たちが今も詩になってかえってくる。

ひとりでは出来ないことを伝えあうそんな素直であれば良かった


[短歌]おとめ座の弱さを承知してくれるこれを居場所と呼ぶんだろうね

「弱いなぁ、強くなりなよ」は、正論すぎて僕を追い詰める。強そうでいて弱い、弱いから強そうにする。そういう振りをしていることも心得て見守っていてくれる。居場所っていうんだ。

おとめ座の弱さを承知してくれるこれを居場所と呼ぶんだろうね


[短歌]割り算になってしまった足し算だ いちたすいちの無音の欠片

足して積み上げていくはずだった未来に辿り着くことができず、どの瞬間から、割り算は始まっていったのだろう。一生懸命だったひとつひとつ、その足し算の残骸のようなものが無音のまま心にのこる。

割り算になってしまった足し算だ いちたすいちの無音の欠片


[短歌]夏じゅうの光と風が集まって旅は温度に纏われていた

とあるコンテストでこの写真が入選した。なかなか旅に出る余裕はないけれど、写真と言葉で想像のひとときを過ごす。あれやこれやの妄想が、いつか実現すればいい。いつか必ず実現させたい。

夏じゅうの光と風が集まって旅は温度に纏われていた


[短歌]「この味もいいね」と僕が言ったから記念日ばかり増えていました

美味しいものを知れば知るほど、はじめて食べたその日が記念日のようになってゆく。「そういえば、去年の今ごろはあれを食べたよね」「違うよ、それは一昨年のことだよ」 ― 何周だってしたかった記念日。叶わなくて、毎日が切ない日々になっちゃうなんてね。

「この味もいいね」と僕が言ったから記念日ばかり増えていました


[短歌]雲だって世界をつなぎたがるのに近くて遠い僕ら同士は

「間違っている」とか「正しい」とか、それはお互いの言い分のことだろう。だからひとつだけ願いたい。僕たちも彼らも、同じように、この状況を「悲しい」と思っているということを。

雲だって世界をつなぎたがるのに近くて遠い僕ら同士は