確実に遠くなっていく。そして、とても綺麗になっていく。思い出は厄介な色味を増して、鮮明に僕をノックしていくのだから苦しい。強いね、思い出していない顔のできる人は。弱いね、思い出して言葉にしてばかりいる僕は。
死ぬまでに何度も思い出すでしょうまるで昨日のことのようです
確実に遠くなっていく。そして、とても綺麗になっていく。思い出は厄介な色味を増して、鮮明に僕をノックしていくのだから苦しい。強いね、思い出していない顔のできる人は。弱いね、思い出して言葉にしてばかりいる僕は。
死ぬまでに何度も思い出すでしょうまるで昨日のことのようです
どれだけ態度で示しましたか、どれだけ行動で伝えましたか、どれだけ覚悟を表しましたか。あの頃の自分にそんな風に言ってやりたくなる。原因は自分にあった。描くだけで未来に辿り着くのだと、ずっと勘違いをしていたんだ。
見えていたのはずっと先だけでしたたった一歩もあゆみ出せずに
「わかるよ」のひと言だけで救われる夜もある。この愚痴や相談に必要なのは答えなのか共感なのか。察してくれる人の温度にもたれて、僕の弱さに肯定をもらった。
始発まで頷いていてくれるかい?
ふあうすと2017年3月号「明鏡府」掲載
何が正しいのかを僕は知らないし、本当に優しいのかどうかも分からない。ただ、そうなんじゃないかな、と思う器の大きな人たちは皆、自分の正義や性格を決して主張はしてこないし、上手に嘘をついて、僕を前へ立てようとしてくれる。頭が良くて優しい人たちのする先回りに、僕はしばらく経ってから、ようやく気が付くのだった。
正しくて優しくてほら嘘をつく
ふあうすと2017年3月号「明鏡府」掲載
「立場」や「肩書き」がひとを勘違いさせてしまうことがある。たとえば「委員長」だとか「経営者」だとか。その立場だから「教えよう」とするのではなく「教えていただこう」となれる人は美しい。王様、服をお忘れではないですか、と言える雰囲気をつくること。リーダーの役割とは。ワンマンなひとを見ていて思うことのあれこれ。自分も然り。
王様ははだかになって言いました
ふあうすと2016年5号「明鏡府」掲載