[川柳]回廊の奥で代打を告げられる

うちの会社で手も足も出すことができるのだけれど、お客さんからは脳みそだけを貸してほしいと頼まれることがある。チームとしての弱さ、責任を感じつつ、相談には笑顔で応じる。生きていくための作り笑いの仮面、その内側を汚すのは蒼いため息。「まったく、弱いチームでしてねぇ」なんて語ってみても、自分だって大きなミスをしていたり。選手交代を告げる声は近くにやってきて、背中はすぐに遠くなる。緊張の土に伸びていきたい錆びた全身。

回廊の奥で代打を告げられる
ふあうすと2015年5月号「明鏡府」掲載