月別アーカイブ: 2017年6月

[短歌]もう君の帰ってこない空白に雨を願った雨に打たれた

もう君の帰ってこない空白に雨を願った雨に打たれた #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #紫陽花 #梅雨

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それからしばらくは、雨ばかりを願っていた。晴れた日に、知らない誰かと笑っている想像。自分とのことが上書きされていくような切なさに、卑屈な祈り方しかできない自分だった。空白を埋めてくれるのはずっと、泣いている空の色だけだった。

もう君の帰ってこない空白に雨を願った雨に打たれた


[短歌]いつかまた会えたら箱に蓋をしてあの日をちゃんと終わりにしよう

蓋をしたはずの箱から昔が甘く悲しく漏れ出してくる。それは、たくさん泣いたようで曖昧にした終わり方だったからなのかもしれない。もしも、もしかして、万が一。そんなことがあれば、次は、ちゃんと終わるための時間になるのだろうね。

いつかまた会えたら箱に蓋をしてあの日をちゃんと終わりにしよう


[短歌]流されぬよう離されぬよう生きるそれでいいかも弱い同士さ

足りているところは分けて、足りないところは補いあう。お互いの弱さをちゃんと認め合えるというのは、お互いの居場所をつくっているということだ。逃げたいときだってある。帰ることのできる場所があるというのは心強いこと、かも。

流されぬよう離されぬよう生きるそれでいいかも弱い同士さ


[川柳]古代文字 きっと誰かのドラマなど

古代文字 きっと誰かのドラマなど #川柳 #フォト川柳 #川柳フォト #言葉 #詩 #古墳 #五色塚古墳 #神戸 #垂水

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記号の羅列のようなものであっても、そこには確かに、誰かの、何かを伝えたいという感情が存在した。僕たちの螺旋の歴史のずっと深いところに、誰かと誰かのドラマがあったから今日がある。ひとはぜったい、繋がりたい生き物なんだね。

古代文字 きっと誰かのドラマなど


[短歌]空回りばかりしていた雄弁を思い出すのは僕だけですか

「蓮(はす)」の花言葉は「雄弁」なのだそうだ。「離れゆく愛」という意味もあるらしい。そして「神聖」という意味も。離れていきそうな背中に、神聖な言葉を重ねる雄弁。だけどそれは空回りだけを繰り返して。まるで僕の青の時代を象徴しているかのような花言葉なんだなと思った。綺麗は花なんだなと思った。

空回りばかりしていた雄弁を思い出すのは僕だけですか


[短歌]理屈では泥道だって分かってた汚れてもただ選びたかった

理屈では泥道だって分かってた汚れてもただ選びたかった #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #泥 #ミニカー

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綺麗な道を行くも人生、汚れた道を行くも人生。正解を選ぶことよりも、悔いのない道を行きたかった。正解なんて、死ぬその瞬間まできっと分からないのだろうと思う。ただただ選びたかった。それが悲しみの道だったとはいえ、その選択を僕は、これっぽっちも後悔はしていない。

理屈では泥道だって分かってた汚れてもただ選びたかった


[短歌]先送りばかりがうまくなってゆく灯りなのかも炎なのかも

先送りばかりがうまくなってゆく灯りなのかも炎なのかも #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #光と影

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日付の決まらない将来に淡い幻を置いてゆく。考えてみれば、迂闊な言葉ばかりを並べて、どれほどの傷を負わせたのかもしれない。僕はそれを灯だと思っていた。君はそこに炎を見ていた。その違いを知らないで、僕は先送りばかりを繰り返していた。

先送りばかりがうまくなってゆく灯りなのかも炎なのかも


[短歌]あいまいな線を挟んだ背中たちいつかの夏が遠くまぶしい

あいまいな線を挟んだ背中たちいつかの夏が遠くまぶしい #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #雲 #夏の雲 #cloud

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「守る」だとか「強くなる」だなんて言葉は、確約のない未来を誤魔化すための免罪符で、弱さの裏返しだったんだろう。僕たちはそんな線を挟んで、壊れそうな約束を交換しあっていた。空の粒子たちに思う。あの日の約束の欠片たちは空気にどれだけ溶けていて、遠い夏のことをまぶしく見せているのですか。

あいまいな線を挟んだ背中たちいつかの夏が遠くまぶしい


[短歌]遠い目をしてため息をついたあと君は自由になったのでした

近くにないものを見ようとしている目に怯えてしまうのは、あの時のため息を覚えているからでしょう。諦めたように、決めたように、飛びたがるようにした、あの時のため息。そうして、想像した通りの遠い場所へと自由になっていったから、僕は寂しくなったのでした。近くにないものを見ようとしている目に怯えてしまうのは、あの時のため息を覚えているからでしょう。

遠い目をしてため息をついたあと君は自由になったのでした


[短歌]点滅のあとは赤だと知っていて雨を選んだ嘘を包んで

点滅のあとは赤だと知っていて雨を選んだ嘘を包んで #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #豪雨 #明石駅前

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青の点滅や黄色のあとは、もう、赤しか来ないことを知っている。それは物事の道理だ。心も同じ。道理の通りに進んでいくことになっている。わかっている。わかっていて、嘘の顔をして笑う。優しい雨のようでいて、冷たい雨が降る。ぜんぶわかっていたんだ。

点滅のあとは赤だと知っていて雨を選んだ嘘を包んで


[短歌]「ずっと」とか(君じゃなきゃ)とか【愛】だとか示すつもりが重荷になって

「ポジティブシンキング」だとか「自己肯定感」だとか、そんな前向きな言葉たちが浸透するようになって久しい。自分に足りないところばかりを見つけてしまって、いつまでも自分に自信が持てない僕は、薄い言葉を重ねることでしかしがみつくことができなかった。しがみつく、なんて、それは、結局荷物になってしまうだけのことなのにね。

「ずっと」とか(君じゃなきゃ)とか【愛】だとか示すつもりが重荷になって


[短歌]学校の外は例外だらけですもう真ん中を遠く離れて

教科書が正しければ、恋も仕事も人生も、きっとこんなには苦しまなかっただろうね。例外だらけを生きている。正しいって教えられたことから、遠く離れたところで、いくつかの傷と涙で生きている。そんな僕たちの、そんな人それぞれ。

学校の外は例外だらけですもう真ん中を遠く離れて


[短歌]まっすぐを曲げようとした日々のことただのヤキモチだったのだけど

君はあまりに美しすぎて、たくさんのものを惹きつけてしまいそうだった。だから僕は、一生懸命に、僕の色に染め、僕の方へと曲げようとした。結局、ただのヤキモチだったんだけどね。美しすぎて心奪われ、美しすぎて心焦がれる。想う気持ちはこうして重くなりすぎてしまう。

まっすぐを曲げようとした日々のことただのヤキモチだったのだけど


[川柳]鮎跳ねる川 泣き虫はもういない

鮎跳ねる川 泣き虫はもういない #川柳 #フォト川柳 #川柳フォト #言葉 #詩 #養父市 #大屋川 #river

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訪れたことのない四万十川を想像して詠んだ句を思い出した。ここは兵庫県北部の養父市、大屋川。しばらく身を置いて、そうか、心が洗われるとはこういうことを言うのだなと実感した。ぼくの中に流れる汚れた水はすこし浄化されて、また、現実へと戻っていく。

鮎跳ねる川 泣き虫はもういない
四万十川川柳全国大会入賞句


[短歌]サイダーの泡を世界に打ち上げてひかりになったひとりとひとり

現代詩歌にはよく「サイダー」という言葉が出現する。俳句の世界では夏の季語としても定着していて、この季節らしい青と白の対比や青春の象徴としても使われやすい言葉となっている。溢れんばかりの炭酸の勢いと爽快感。しかしそれ長くは続かず、次第に気の抜けたものとして、ひとつひとつの点になって消えてしまうのだった。

サイダーの泡を世界に打ち上げてひかりになったひとりとひとり


[短歌]あれ以来僕は詩を書くようになり君は未来を迷わなくなり

折れた枝を見かけて、この子はこれまでに何度咲いて、これから本当は、何度咲くことができたのだろうと考えた。僕も人生で、幾度かの挫折があり、その挫折があったからこそ、言葉を選べるようになったのだとも言える。起きていることには意味がある。傷は未来をつくるのだ。

あれ以来僕は詩を書くようになり君は未来を迷わなくなり


[短歌]終点はそれぞれ違う場所でした隙間を譲りあった僕らの

終点はそれぞれ違う場所でした隙間を譲りあった僕らの #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #山陽電車 #train

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トモニイコウと決めたはずの未来も、傷付けまいと悲しませまいと心を配りすぎてすれ違いが多くなってしまうことがある。どこかに、確実に、分岐点はあった。いまなら思える「あの時かな」という瞬間も、思ったところで、もうどうにもならない過去の淡い一点だ。

終点はそれぞれ違う場所でした隙間を譲りあった僕らの


[短歌]足し算をしすぎて重くなりました引けるわけなどないのだけれど

足し算をしすぎて重くなりました引けるわけなどないのだけれど #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #若葉のころ

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想いが重いと荷物になって、あいだには川ができてしまう。とはいえ、想いが軽いと、今度は風に飛ばされて、僕は僕でいられなくなってしまう。結局、足し算ばかりで、大切なものを壊し続けてしまった。一生懸命に想いすぎてしまった、それもまた、昔むかしの物語。

足し算をしすぎて重くなりました引けるわけなどないのだけれど


[短歌]この風に吐息をすこしだけ足して握りこぶしに未練のカタチ

この風に吐息をすこしだけ足して握りこぶしに未練のカタチ #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #大蔵海岸 #beach

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「この拳が君を守るため傷付いてもいいから」という歌詞があった。それはもちろん「守りたい」という男の承認欲求のたとえなのだろうけれど、用をなさなかった拳には、ため息と昔の風だけが触れて抜けていくことになる。昔は、こんな未来が来るだなんて、これっぽっちも想像をしなかったんだろうな。

この風に吐息をすこしだけ足して握りこぶしに未練のカタチ


[短歌]新しいコンクリートが増えてゆき青葉のころは遠くなったね

僕の住む町の駅前は急速に開発が進んで、今も心に残る音や匂いのある景色たちはすべて一掃されてしまった。手を伸ばせた届きそうだった空も、いまはコンクリートのてっぺんに、ぐんと押し上げられてしまった感じがする。若葉の頃の記憶はどんどん遠くになってゆく。

新しいコンクリートが増えてゆき青葉のころは遠くなったね