月別アーカイブ: 2017年1月

[短歌]やるべきややらねばという日めくりの秒針を消す砂の戯れ事

十代の十年と比較して、二十代や三十代の十年は飛躍的に加速した。急いでいく人生のなかで、時折、秒針を忘れさせてくれる瞬間がある。空と海は青に満ちていて、屈託のない顔のしばらく。砂には誰にも見られてはいけないようなことを描き合った。

やるべきややらねばという日めくりの秒針を消す砂の戯れ事


[川柳]いいですねまた今度是非ご一緒に

会う人のいいところを、ちゃんと、言葉にして伝えようと思っている。見えたもの、感じたもの。だから、飾る必要はない。飾った言葉ではないから、それを一生懸命に覚えておく必要もない。次に会うときもまた、同じように、僕はその人のいいところを伝えられる。笑っていてほしいし、自分も楽でありたい。暗記科目のような社交辞令は、どうにも苦手だなぁと感じている。

いいですねまた今度是非ご一緒に
ふあうすと2017年1月号「明鏡府」掲載


[短歌]真っ白に惹かれ真っ白だから妬く奴には作り笑いでいてよ

白に惹かれて、真っ赤になって、近くになって、違う角度に妬いてしまう。見える範囲のすべてが敵のようだった、僕は、守るはずの手のひらに、花束ではなく、いつのまにか鎖を持ち替えていた。いまは昔。信じることの難しさを知ったあのころのことだった。

真っ白に惹かれ真っ白だから妬く奴には作り笑いでいてよ


[短歌]さりげなく君が与えてくれるものいつか「ごめん」と終わる気がして

見えないものに、見えるもので応じた気持ちになってしまう男の器はとても小さい。冬の毛布にも似た、当たり前の、当たり前ではない優しさは、いつか溶けてしまうようで、いっそ、気付かない僕であれば良いのにと思うことがある。

さりげなく君が与えてくれるものいつか「ごめん」と終わる気がして


[短歌]ツキのない夜に出逢えたものだから永遠という特別になる

闇に舞う羽根たちが都会を白く染めていく。この非日常が永遠になればいいのにと、数年に一度の光景に心を弾ませた。ツキがない夜だからこそ出逢えるもの。奇跡は自分の立ち位置次第。

ツキのない夜に出逢えたものだから永遠という特別になる


[短歌]トンネルの寒さを与えられるのは寄せ合う肩の距離を知るため

詩は悲哀を昇華するために存在するという考え方があって、言葉を生業とする僕にとって、これまでの負はそれなりに価値があったのだろうと思っている。寒さ、暗さ、強烈であればあるほど、ここは光の射す場所であることを知る。

トンネルの寒さを与えられるのは寄せ合う肩の距離を知るため


[短歌]闇のない未来はないと思うけど闇のときでも答えになるよ

「絶対に幸せにする」という青かったころを過ぎて「つらいときだってあると思うけど」という言葉を選ってしまうあたり、大人になってしまったということなんだろう。それでも、その前提を礎として答えになりたいと願うのは、大人なり、これからの宣誓なんだ。

[短歌]闇のない未来はないと思うけど闇のときでも答えになるよ


[短歌]祈るほど僕の壊れる音がする君も泣いたりするのでしょうか

右の道を選ぶ僕に、左の道を選ぶ君がいた。その続編の幸せを祈る僕は、心の底から本当の幸せを祈っているのだろうか。どこかでは涙や挫折を意識して、右の道を選んでいたらどうなっていたのだろうと想像する君のことを浮かべていたりはしないだろうか。

祈るほど僕の壊れる音がする君も泣いたりするのでしょうか


[短歌]似てほしくないけど似てもいてほしいこんな自分で良ければですが

同じ食べ物を好きになったり、その間だけで通じる言葉が増えていったり。「似る」とか「近づく」とか「重なる」という言葉の先は、じんわり、僕たちを幸せな感じにしてくれる。

似てほしくないけど似てもいてほしいこんな自分で良ければですが