月別アーカイブ: 2016年6月

[短歌]踏切を越えてきた人だけの知る甘い蜜ですどうぞ勇気を

踏切を越えてきた人だけの知る甘い蜜ですどうぞ勇気を #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

不思議な場所にある踏切だった。日常のこちら側には緑の道があって、誘われるように土の香りと遊んだ。何かがほしいと願うのなら、僕たちは冒険の橋を渡って世界を探しにいかなければならない。リスクとリターン、権利と義務。甘いものを甘いと感じられるのは、汗の日の氷水とおなじで。

踏切を越えてきた人だけの知る甘い蜜ですどうぞ勇気を


[短歌]夕暮れの雲が邪魔することもある雨じゃないだけ良しとするけど

朱の絵の具を落としたように広がる稜線の夕暮れが大好きで、移動の合間にカメラを構えることがある。ところが生憎、僕の意図した光景は雲に邪魔をされてしまった。願う通りにすべてのことが叶うとは限らない。それでも、雨でなかっただけ良しと思えたら、今日のこの景色と歌に意味を与えることができる。起きることには意味がある。僕たちはそれを拾い集めて、破片になった曇りガラスに未来を透かしてみるだけだ。生きていること。生きていられること。価値とはつまり。

夕暮れの雲が邪魔することもある雨じゃないだけ良しとするけど


[短歌]指切りの未来の色を聞いていたトンビがすべる光の軽さ

指切りの未来の色を聞いていたトンビがすべる光の軽さ #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

若い同士の約束を聞いている空は、見ない振りをして青で演出する。木々は歌いあって風を呼んでくるものだから、翔るトンビもどこまでも軽い。世界は誰かに与えたり、許したりして、道をつくっていく。僕たちがそうされたように、僕たちは世界になっていく。

指切りの未来の色を聞いていたトンビがすべる光の軽さ


[短歌]想われて生きていきたい人たちの画面に浮かべLINEスタンプ

想われて生きていきたい人たちの画面に浮かべLINEスタンプ #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

くたびれた顔、帰路を急いで。それでも、バスを待つ「列」たちは「LINE」のスタンプを送りあって、想いあって空間を越え合っていた。空を電波は震えて、手のひらへ届く温度。無数のメッセージたちが行き来している空気を網のようにすくって、優しさを想像してみることも楽しい。

想われて生きていきたい人たちの画面に浮かべLINEスタンプ


[短歌]楽屋ではピエロはどんな顔をしてお疲れ様を言い合うのかな

楽屋ではピエロはどんな顔をしてお疲れ様を言い合うのかな #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

子どもの頃にサーカスに連れていってもらった。始まりに出てきたピエロは場を盛り上げてくれて、やがて空中ブランコのあたりでふざけている内に、ステージの中央で動物たちのショーが始まった。気が付けばピエロは消えていて、僕たちの記憶には華やかなステージのことだけが刻まれた。それもまた役割。彼にはどんな労いの言葉があったのだろうと、僕は僕の記憶のなかの数分を訪れては想像する。生きていくために、ひとはそれぞれの役割の仮面を選ぶ。一日の終わりにすべてを脱いだピエロにも、どうか優しい温度に触れていてほしいと願う。

楽屋ではピエロはどんな顔をしてお疲れ様を言い合うのかな


[短歌]なにもかも流してしまう雨を待てずっと一緒に待ってやるから

なにもかも流してしまう雨を待てずっと一緒に待ってやるから #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

洗われて癒えるまで、聞かれたこと以外は黙っておく。いろんなリスタートがあっていい。ここに置いていく荷物の分だけ軽くなれ。空気は澄んだ。風の出番だ。

なにもかも流してしまう雨を待てずっと一緒に待ってやるから


[短歌]疲れとか涙の理由を吸い込んだ空に光を奏でる蛍

疲れとか涙の理由を吸い込んだ空に光を奏でる蛍 #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

一年に一度登ることにしているビルのてっぺんで、今年もここまでやってこれたことを思う。街は小さな蛍たち。疲れや涙があっても、みんな当たり前に頑張ってる。自分だけが特別なんてことはない。僕だって光の束を構成する一粒になって生きていく。6月は決算月、ラストスパート。

疲れとか涙の理由を吸い込んだ空に光を奏でる蛍


[短歌]雨風を好んで生きていることは優しい土を選ぶということ

雨風を好んで生きていることは優しい土を選ぶということ #短歌 #短歌フォト

Nishibata Yasutakaさん(@bata)が投稿した写真 –

「『初心者のうちは五七調を守り、字余りなどは使わないようにしましょう』というあのひとは、どうして字余りを使っていいのですか?」と聞かれても困るので、僕は定型(五七調)を守る。ところがこの歌は字余りである。何故なのか。単純に間違っただけだ。そういうことだってある。そんなミスにも優しい土に恵まれて、僕は生きている。雨の降る場所を選ぶことも生き方だ。

雨風を選んで生きていることは優しい土を選ぶということ


[短歌]中ほどのホームで決める一歩二歩夏のスーツに弱冷車来る

「キャンプ行かない?」「冷房あるかな?」「キャンプだよ?」「シャワー使えるなら考えてもいいけど」「アウトドアとか興味ないの?」「インドアでキャンプをしてみたい」「燃えろよ燃えろ~よは?」「クーラーの効いた室内で眺めてる」――という会話をして以来、僕にはキャンプのお誘いがない。夏はクーラー。弱冷車を避けて、ひとときの避暑地へ。

中ほどのホームで決める一歩二歩夏のスーツに弱冷車来る