月別アーカイブ: 2016年4月

[短歌]埃なら払えばいつか青春を見上げた丘を駆ける自転車 #CHAGEandASKA

完璧を生きていけるわけはなく、誰にだってある傷や埃のことを指をさすような真似はしたくないし、願わくは、自分だってそうはされたくない。お互いのすべてを認め合ってしまうには若すぎることは間違いがなく、on your mark。いつもここからの未来だけを見据え合って僕らは。

埃なら払えばいつか青春を見上げた丘を駆ける自転車


[川柳]遅刻してきたひとがまず愚痴を言う

「遅れちゃってごめんねー。違うのよ、途中で忘れ物に気付いちゃって。それで慌てて戻って。走ったんだけどね、電車が待っててくれなくて。わたしのこと見えてるんだから、待っててくれたらいいと思わない?ひどいわよねー」という愚痴を、待っていた方が笑いながら聞いている。いい人なんだろうなぁと、僕はそれを見ている。

遅刻してきたひとがまず愚痴を言う
ふあうすと2016年4月号「明鏡府」掲載


[短歌]ワイパーに吊るされている袋など 犬と一緒の春なんですね

車のリアグラスのワイパーにビニル袋が吊り下げられている。お出かけした後の確かな重量感を認めると、なんともいえない微笑ましい気分になった。どこに行って、どんな犬なのだろうと想像していると、窓から眩しそうな顔が覗く。春は誰にでも優しくて、もう逢えない家族のことを思い出して少しだけ寂しくもなる。この香りと薄紅の空の下を、僕たちも一緒に笑いあったね。

ワイパーに吊るされている袋など 犬と一緒の春なんですね


[短歌]「命日と誕生日ならどっちかな?」「長く過ごせるほうにしようか」

春は命日がたくさん。花のなかを昇っていった父はともかく、他の家族や犬たちの命日は混乱しがちになる。別れに泣いた日のことを思い出すよりも、ローソクを吹き消して笑った日の方が楽しくて良い。それでもやっぱり、足りなくて空気を抱けば、千切れそうになって全身が痛むのだけれど。

「命日と誕生日ならどっちかな?」「長く過ごせるほうにしようか」