月別アーカイブ: 2015年5月

[短歌]経営者たちの吐き出す蒼い息月の終わりの四角い数字

先月末も体調を崩したのだけれど、今月もまた同じように沈んでる。10年ずっと月の終わりが来るたびに支払いのプレッシャーに襲われて、ほっとした途端に身体のどこかから聞こえ出す悲鳴。比較的体力のあったこの10年がこんな風なら、これから先はどんな風になるのだろうと考えてしまう。夢、志、目標、在るべき姿。社内のミーティングで伝えて、行動を促す。主語は「みんな」でありたい。喜びを「みんな」で共有したい。

経営者たちの吐き出す蒼い息月の終わりの四角い数字


[川柳]梅雨めいて地球と屋根がキスをした

4月には雪の日と真夏日があって、5月には台風が青葉を揺らした。季節が急いで、もう、屋根の下で読む本のことばかりを考えている。梅雨を思わせる空、雨に閉じ込められて活字を追いかけるのが好き▼本をカバンに詰め込みすぎて、肩と手首を痛めてしまった。電子書籍であればなるほど、何冊も持ち歩くことができる。電子書籍で買える本、電子書籍では買えぬ本。結果、紙の本と電子書籍の端末が僕の肩にますます食い込んでいく▼屋根に落ちる雨の音に本たちは聞き耳を立てて。雨と活字が僕を宇宙へと誘ってくれる。

梅雨めいて地球と屋根がキスをした
ふあうすと2015年6月号裏表紙


[短歌]複数の壊れる音がして赤い丘に吹くのは痛みと痛み

ASKAさんの逮捕という事実を受けて、色褪せることのないものを想うという記事を書いたのは一年ほど前。この歌も同じ頃に詠んだもので、Red Hillという楽曲の一節にある「ふたつにひとつの痛みとやすらぎ」という部分から世界を広げた。人それぞれに、いまを構成しているルーツはあるはずで、僕にとっては両親の存在と二人の影響は絶対のもの。いまがあって未来があるのなら、これからを力強く生きていくためにもまた、まぶたの何処かに映し出されるふたりの姿に出逢ってみたい。

複数の壊れる音がして赤い丘に吹くのは痛みと痛み


[短歌]君の選る言葉は色に満ちている空と海との境目さえも

緑の季節、街のあちこちで草花たちが風を喜ぶ。小さくて見過ごしてしまいそうな花のことを、最初に見つけて名前をつけた人は他にどんな発見をして一生を過ごしていったのだろう。見付けたり気付いたりすることのできる優しい人の箱の中身を覗いてみたいと思った。

君の選る言葉は色に満ちている空と海との境目さえも


[川柳]回廊の奥で代打を告げられる

うちの会社で手も足も出すことができるのだけれど、お客さんからは脳みそだけを貸してほしいと頼まれることがある。チームとしての弱さ、責任を感じつつ、相談には笑顔で応じる。生きていくための作り笑いの仮面、その内側を汚すのは蒼いため息。「まったく、弱いチームでしてねぇ」なんて語ってみても、自分だって大きなミスをしていたり。選手交代を告げる声は近くにやってきて、背中はすぐに遠くなる。緊張の土に伸びていきたい錆びた全身。

回廊の奥で代打を告げられる
ふあうすと2015年5月号「明鏡府」掲載