月別アーカイブ: 2014年10月

[川柳]先に逝くなんて知らない反抗期

「くそじじぃぃぃ、ぼけぇぇぇぇ」という言葉を久し振りに聞いた。お父さんはとても寂しそうだった。僕も似たような言動や行動をとっていた時期があるし、そんな風に言ってしまう側の気持ちはよくわかるつもりだ。ただ、親子として温もりを感じられる時間は、少しずつカウントダウンをしていたということ、それはあとになって気付いたものだから、僕は言えずのままの「ごめん」と「ありがとう」に今も苦しんだりする。言えるのは幸せで、言えないのは苦しいね。

先に逝くなんて知らない反抗期
ふあうすと2011年2月号「明鏡府」掲載


[川柳]約束の通りに彩を届けます

ほんの何センチ、ほんの数秒。御嶽山が噴火して、涙の意味はその「ほんの」で大きく異なった。降る運命にひとは抗うことは出来ず、だから僕たちは刹那の繰り返しであるいま、いま、いまを大切にしていかなければならない。ときの約束を大切にして、誰かの時間を借りて生きていかなければならない。自分の持つ刹那、相手の持つ刹那、それぞれの一瞬が今を形成している▼生きると死ぬの紙一重。伝えたい何かも、約束の時間を過ぎては間に合わないことがある。その意味を考えては「もう二度と」を誓って、強くなっていく。決められた時間までに、彩を与える。そんな仕事をしていきたい。

約束の通りに彩を届けます
ふあうすと2014年11月号裏表紙


[川柳]メールには風を描いてる あ・うんだね

以心伝心、書かないところにある甘い痺れ。言葉を選るよりも、想像に委ねて風だけを描く。相性もそうだし、それまでに積み上げた時間もそう。見えないものを見ようとして疲弊するくらいならば、きっとこんなだね、と思いあえる感覚を大切にしていたい。守りたいのは名誉じゃないから。

メールには風を描いてる あ・うんだね
ふあうすと2012年9月号「明鏡府」掲載


[短歌]22時18分にこぼれ出すお前の黒い息の長さは

幸せを確かめ合う同窓会もいいけれど、本音や本当は22時過ぎの「そろそろ帰らなくちゃ、もう」の誰かの声の裏側に在るような気がする。絵に描いたような暖色、言葉にはできない寒色、今日、ここにはいない冷えた無色。同じ時代を生きても、その後に降った雨は、それぞれに色々。

22時18分にこぼれ出すお前の黒い息の長さは


[短歌]色のないまま団栗のアスファルト台風のいた空は青くて

台風のあとの空は高くて、運動会の色だなと思うことがある。空は記憶とリンクしやすくて、見上げれば歓声やため息、音や匂いも蘇るトンネル。残響は幼子の頃からずっと続いてる。10月の嵐は色を与えずに団栗を道に転がした。風の残る青い空が眩しい秋の卵たちは、もう戻ることの叶わない樹々の下で夢を見ている。

色のないまま団栗のアスファルト台風のいた空は青くて


[川柳]生真面目に不器用だった 指さえも

中学生たちの最新恋愛事情を聞く。「長電話はしない」「夜の8時以降は電話しない」「親御さんにはちゃんと挨拶をする」- 僕たちの時代に存在したルールは、いま、指でつながるツールのおかげで知る由もない。もっとも、指で届いても指に触れるまでの時間や戦略はどうやら変わりはないようで楽しくもなる。告白はメールではなく、ちゃんと呼び出してするつもりらしい。「なんでメールで告白しないの?」「自分だったら面と向かって言われたいし」

生真面目に不器用だった 指さえも
ふあうすと2014年10月号「明鏡府」掲載