月別アーカイブ: 2014年7月

[川柳]宿題のまだ終わらない八月忌

宿題のまだ終わらない八月忌

集団的自衛権の話があって、改めて憲法を読み直してみた。現行憲法以前の変遷にも触れて、歴史から要請された宿題はまだまだ終わっていないことを知る。丸写しをするような答えはどこにも存在しない、「残してしまった」か「残してくれた」か、平成の歴史を未来はどんな風に眺めることになるのだろう▼7月12日の本社句会で選者を務めさせていただいた。選ぶとは選ばないことの裏返し。心苦しさを覚えつつ、心打つ多くの句と対話できた感動は忘れない。ふあうすとの歴史に深く関わっていきたいと思った。深謝。

ふあうすと2014年8月号「明鏡府」掲載


[短歌]小判型錠剤たちはショッカーを倒して白い夜明けをくれた

小判型錠剤たちはショッカーを倒して白い夜明けをくれた

子どもの頃から通う病院の先生は、僕が扁桃炎になるといつも小判型の薬を出してくれる。夜に酷くなる喉の痛み、薬が全身を巡るイメージをして悪者たちが消えていく暫くを耐える。鳥と蝉と白い朝がやってきて、苦痛は消えて食欲がもどった。病み上がり、浮かべるのは阪神百貨店のイカ焼きとソース。想像で始まる元気な朝って素晴らしい。


[短歌]電卓と空を見ている猛暑日のトンボは赤い夢を見ている

電卓と空を見ている猛暑日のトンボは赤い夢を見ている

「決算書を作らねば」と宣言しつつ進まない自分によみがえるのは「どうしてもっと早く済ませておかなかったの!」と怒る8月31日の親の声。「来年こそは」と毎年心に決めて、また同じことを繰り返してる。茹だる暑さ、溶けるアスファルト、夏木立、入道雲。涼しくなったらこんなことをしたいという想像ばかりで、電卓はずっと動かない。


[短歌]焦げくさい心に雨を降らしても化学変化の果ての傷痕

焦げくさい心に雨を降らしても化学変化の果ての傷痕

最初に覚えた違和感、直感。心の鳴らす鐘の音は自分にしか聞こえないし、言い聞かせようとしてしんどくなるばかりなら、早めに距離を置くのも一つの方法かもしれない。判断は難しいけれど、断りやすいよう、時間を埋め尽くしてしまうのもいいだろうね。やらなくちゃいけないことはたくさんある、やりたいことと同じくらいにたくさん。


[短歌]あなたなら大丈夫って言われてはそれ相応の仮面の出番

あなたなら大丈夫って言われてはそれ相応の仮面の出番

「経営をしていて起こり得るこんな非常事態」という教科書の最初のページに出てきそうなことに直面してる。乗るはずだった新幹線が動いていなくて、目の前には自転車しかない。決められたように決められた顔で目的地に向かわなければいけないのに、僕らはこれからどうなってしまうのか。いつも足りないばかりを口にしてる。お金だってそう、知恵だってそう、時間だってそう、希望だってそう。


[短歌]抽選で10名様に当たります戦争に行く赤いお手紙

抽選で10名様に当たります戦争に行く赤いお手紙

憲法9条、集団的自衛権、戦争、平和。誰かが傷付くことを黙って見ているわけにもいかないし、誰かを傷付けることを容認するわけにもいかない。判断の話はとても難しくて、詩人は歌にして平和を祈ることしかできない。七夕、短冊、赤い紙は避けて。

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


[短歌]ポケットに付箋を入れたまま朝が来て神様は傘を差してる

ポケットに付箋を入れたまま朝が来て神様は傘を差してる

想の数だけ創に会えなくて、苦しみの付箋たち。筒のようなものがあって、それを覗いたりそれで聞いたりすれば形になっていくイメージがあるのにうまくいかない。窓の外は濡れたアスファルト、乾いたまんまの脳みそ。ゼロをイチに出来ないまま、既視感のあるものばかりを繰り返している梅雨の真ん中。