月別アーカイブ: 2014年5月

[川柳]ガリバーの日記に泣いた跡がある

ガリバーの日記に泣いた跡がある

Amazonの倉庫に忍び込む自分を妄想しながら、大阪は堺から更新。インターチェンジの近くに倉庫や工場群があって、周辺には物流を担う会社が幾つも並ぶ。繋がりや輪のなかにいて、くるくるくると音を立てる経済。こんな規模になる、その第一歩目はどんな風であったのか。眉間に皺を寄せたり、頭のてっぺんを見せたりして、許しを請うた日もあっただろうか。


[短歌]「たかが」って言われることもあるでしょう「されど」わかるよ朝が遠いね #CHAGEandASKA

「たかが」って言われることもあるでしょう「されど」わかるよ朝が遠いね

肉親を亡くす痛みは理解してもらえる。愛犬を失くした痛みは言葉を選ぶ必要があった。そして大好きなアーティストの現実を知った痛みは、「千切れる」とは異なるもので、訴え続ける自分もどうなんだろうと思ってしまう。「たかが」を相手に見つけてしまうのが怖いんだろうね。なれど「されど」を唱えてしまう程の存在であるということ、けれど空は青であるということ。


[川柳]飛ぶ鳥に雨 まだ巣には遠いのに

飛ぶ鳥に雨 まだ巣には遠いのに

雨の季節を前に、好きなアーティストが逮捕される。その人がいて、僕は詩の世界に自分を見つけることができた。軸の壊れていくような衝撃は負の色になって全身を包む。そして悲哀はまた詩になるのだから、この世界はなんだか皮肉だ。黒い点、ポツン、染みて、さて、僕はどうなっていくのだろう。彼にどうなってほしいのだろう▼7月の本社句会で選者を務めることになった。限られた時間のなかで句を鑑賞するという初めての体験に緊張している。どんな夏の夜に出逢えるのだろうか。題は「花火」。

ふあうすと2014年6月号裏表紙


[短歌]「もしも」とか試してみたり怯えたりどんな未来も君の味方さ #CHAGEandASKA

「もしも」とか試してみたり怯えたりどんな未来も君の味方さ #CHAGEandASKA

ASKAさんの逮捕という事実を受けて、色褪せることのないものを想うで書いた通りに、僕はその後も、歯を磨くのと同じ感覚でふたりの楽曲を選んで再生のボタンを押している。もちろん、起きてすぐ、夢だったんじゃないかと確かめたり、いろんな「もしも」も想像してみたりするけれど。爪のかからないもどかしさ、苦しくても、ずっと待ってみる。それも信じるっていうことだろうし、味方ってのはつまり、そういうことなんじゃないかな。


[川柳]わらべうた どの音符にも母のいる

わらべうた どの音符にも母のいる

月の沙漠を作曲された佐々木すぐるさんが、同じ兵庫県の高砂のご出身であることを知る。千葉県の御宿海岸にはラクダに乗った王子と姫の像が建てられていて、近くには月の形をした詩碑と月の沙漠記念館もあるのだそうだ。「砂」という字ではなく「沙」という字が用いられるのは、この海岸が詩のモチーフになったからだとか。検索は色々なことを教えてくれて楽しい。ラクダに揺られる二つの影を想像しながら、耳に母の声を思い出していた。母はどうしてこの歌を好んで歌ってくれたのだろう。

川柳マガジン2008年5月号「何でも」入選


[短歌]立つ鳥の濁した水は透明な宝箱まで凍らせていく

立つ鳥の濁した水は透明な宝箱まで凍らせていく

大好きなアーティストの逮捕の報にショックを受ける。20年以上、彼の詩と旋律は僕の軸となって世界を与え続けてくれた。心酔している僕に襲いかかる事実と、断片的な情報を勝手に線や面にしていく、そして人を決めつける無責任な風潮に止まらない嗚咽。断片の向こう側を信じるのは僕の自由。


[短歌]廃業のハガキを送るため息に月よ静かな夜を与えて

廃業のハガキを送るため息に月よ静かな夜を与えて

廃業を伝える葉書の文面を考えて一緒に投函した夜に、僕は千切れそうになった。そして今日もまた「実は…」を告げられて、生きていくことの厳しさを痛感してる。恩を返せるでもなく過ぎた時間に、もっと何かができたのではなかっただろうか。義理や恩義という言葉を辞書で繰りながら、月のいない夜の悪意に心が寒い。


[川柳]海老フライたちに逃げ場はなかったね

海老フライたちに逃げ場はなかったね

相談を受ける。「長く付き合ってるんだけどね」「うん」「いつも必ず残すんだ」「何処で食べていても?」「うん」「ということは?」「うん」「そうか」「そうなんだ」

ふあうすと2014年6月号「明鏡府」掲載


[川柳]泣かないと決めても泣いていいんだよ

泣かないと決めても泣いていいんだよ

強そうな人が強いねと言われてますます強くなろうとしているのを見かける。ちゃんと何処かで吐露できているんだろうか。泣いてもいいのに(泣いてもいいですか)。逃げたらいいのに(逃げてもいいですか)

切り拓けるのは勇気を出した人だけだとわかってる。勇気を出す前に、ときどき、休みたいと思うこともある。

ふあうすと2014年3月号「明鏡府」掲載


[川柳]経営の「い」の字は痛む胃の形

経営の「い」の字は痛む胃の形

「枕が変わると眠れなくなるので」と、吹奏楽部の合宿に参加しなかった。「お腹が痛くなりそうなので」と、修学旅行の夜は個室を用意してもらった。すぐにきゅるきゅると鳴き始める胃を飼いながら、今日は今日の問題に直面して、冷や汗をかいたり頭を下げたりして過ごす。餌はしっかり食べる割に、虚弱体質で、なんだかもう、胃ーっとなるね。

ふあうすと2014年5月号「明鏡府」掲載


[川柳]経営の「え」の字は足りぬときの声

経営の「え」の字は足りぬときの声

時間が足りない、人が足りない、お金が足りない、経営者の脳みそが足らない。「マイナスとマイナスの掛け算はプラスになるんだっ」と前向きに考えようとするタイミングで、もう一つの負がやってきて、やっぱりイコールの先はマイナスに向かっていく羽目に。未来は不測、いつも驚きの声ばかり。未来は不足、ずっと足らずの声ばかり?

ふあうすと2014年5月号「明鏡府」掲載


[川柳]経営の「い」の字で粋な空回り

経営の「い」の字で粋な空回り

「任せとってくださいー」「んなもん、気軽に言うてくださいよ」と格好つけて、20秒くらいしてから(言ってしまった)と後悔。「ごめん、こんな条件で話をまとめてきてしまった」とメンバーに謝ったりもする。「実は僕もこんな風に引き受けてしまったことがあって」という報告が返ってきて、あぁ、リーダーの考えや行動は、組織に伝染していくのだなぁと思う。嫌いじゃないけどね。

ふあうすと2014年5月号「明鏡府」掲載


[川柳]経営の「け」の字で蹴った意地っ張り

経営の「け」の字で蹴った意地っ張り

器いっぱいになった水の溢れ出す音を聞いて「だいじょうぶ?」と声をかけてきてくれる人がいる。こんな風に自分のことを気にかけてくださる存在が嬉しく、甘えてばかりいてはいけないと思う。「意地を張らないでもいいんだよ」と続けられて、この人はどこまで見抜いているのかなぁと思ったり。弱さを武器にしてるよね。でも、ほんと、ありがとうございます。

ふあうすと2014年5月号「明鏡府」掲載