月別アーカイブ: 2013年9月

川柳 20130925

豆腐屋のラッパが長い影と来る

すこし変化球を投げてみたくなって短歌、すこし人に疲れては俳句、やっぱり人だなと思えば川柳。僕のなかにある線は、そんな風に色を選り分けていて、指を折っては救いのような道を持てることが今はただ嬉しい▼苦しみや喜びも、来年やその先のもっと未来、どうか微笑んで読み返すことのできますようにと、長い影のした、17文字を追いかけたしばらく。

ふあうすと2013年10月号裏表紙


川柳 20130923

年回忌 むかしむかしの声が澄む

祖母が亡くなったときに見た母の涙、「おかあさん!」と棺の中に叫んだ声に、母もひとりの娘であることをはじめて理解したような気がする。十七回忌、母は懐かしさに触れに新幹線に乗った。僕は周囲のいくつかの訃に、その周囲の人たちの気持ちを思い遣って過ごす。


川柳 20130914

百数え ラムネと父のバスタオル

銭湯からの帰り道、父のサンダルは引きずったような音を立てていた。30年以上が過ぎて、僕もいま、同じ音でアスファルトを削って歩いている。似たくないなぁと思っていたアレコレが年々重なってきて、父はどんな風に僕を笑うだろう。9月14日、父の誕生日、仏前でひととき。

ふあうすと2009年5月号「明鏡府」掲載