カテゴリー別アーカイブ: 短歌

[短歌]もう今日を疲れたのなら眠ろうかチカラでいるよ明日も未来も

明日に借金を残してしまえばしんどくなりますが、仕切り直しの君のチカラになれるのならば、あえてあえての余力だと考えることにしましょうか。たくわえたエネルギーに、手のひらを重ねるようにして加速をしましょう。だから今はね、あしたへおやすみ。

もう今日を疲れたのなら眠ろうかチカラでいるよ明日も未来も


[短歌]手と手と手 神戸は強くなりました海に浮かんだ嘘が悲しい

神戸の海にやってきたクリスマスツリーは、その物語が二転三転して、亡くなった魂たちを鎮めるはずが、栄誉を求める人のためだけに潮風に晒され続けました。木が可哀想なのではなく、僕たちは、この地の魂たちを利用されたように感じたことが悲しいのだと思います。あまりにも嘘の多い、冬の思い出でした。

手と手と手 神戸は強くなりました海に浮かんだ嘘が悲しい


[短歌]一瞬で一生になる恋をした伝えたいのは色だけだった

舞い落ちる一瞬の時間で、色を抱きました。幾度かの横顔に触れて、それは確信になっていきました。点は未来へ現在進行形。この色こそは失いたくないと、言葉を選びながら空想を繰り返しています。

一瞬で一生になる恋をした伝えたいのは色だけだった


[短歌]書く僕とピアノの僕と撮る僕と伝えることを生きていきます

いつも明け方まで僕のため息を聞いてくださった方が、急逝されました。花に美しく飾られた棺に、これまでのありがとうと、これからの生き方を伝えました。酒に生きたあなたへ。僕は、伝えることを生きていきます。

書く僕とピアノの僕と撮る僕と伝えることを生きていきます


[短歌]神戸にはもう特別な木があって祈りの街の空は静かに

傷を知っている赤くて優しいポートタワーが、神戸にはもう、十分にクリスマスツリーで、嘘とお金の匂いのする木は必要ないのではないかと思いました。祈る空、鎮める海のことは、どうか、静粛なものであってほしいと願います。

神戸にはもう特別な木があって祈りの街の空は静かに


[短歌]僕たちは生まれる場所を選べないだから咲きたいように咲くんだ

誰かに決められることではありません、誰かに押し付けらることでもありません。種は誰にも、道はそれぞれ。咲きたいように咲いて、そうして、散っていく。そんな幸福を大切にしていきたいですね。

僕たちは生まれる場所を選べないだから咲きたいように咲くんだ


[短歌]海と空だけに聞かせている話クジラは恋をしているのです

帰り道のテトラポッド、しばらく、海と空は話を聞いてくれました。作戦会議も、涙の理由も、一途な歴史は茜の射し込んだ青たちがよく覚えてくれています。さて、僕はもう、大人になりました。どうかその秘密は、開くことなく、永遠に閉じ込めておいてくださいね。

海と空だけに聞かせている話クジラは恋をしているのです


[短歌]夕焼けを終わりにたとえたがるけどほらね僕らは燃えているんだ

夕暮れの公園のベンチには、もう、知らない誰かたちが笑いあっています。思い返せばあれだけの時間を、何を話して過ごしたのでしょうか。陳腐な言葉だと思います、燃えるって。でも、そんな火傷が、とても懐かしいのです。

夕焼けを終わりにたとえたがるけどほらね僕らは燃えているんだ


[短歌]傷のない顔で行ったり来たりするひとは昔と今を生きてる

今日を笑っているあの人にも、涙の歴史があったことでしょう。それぞれ傷を持ち寄って、それぞれに傷を隠し合って、いま、この場所の空気が混ざり合っている。みんな嘘つきで、みんな今を一生懸命です。

傷のない顔で行ったり来たりするひとは昔と今を生きてる


[短歌]平和には遠い誰かを知っていて祈りは無力なんだろうけど

街のあちこちにクリスマスツリー。鈴と光に満ちた華やぎの向こうには、いまも不穏な空気に壊れそうな人たちがいて、僕は僕たちは、それに祈りを向けることしかできません。無力な祈りにどうすれば、熱量は伴うのでありましょうか。

平和には遠い誰かを知っていて祈りは無力なんだろうけど


[短歌]騙すとかうまく言うとか壊すとか無縁に光り続けたふたり

打算もテクニックもなく、ただ想いを寄せ合ったふたりは危ういくらい光り続けました。光をよぎった小さな影一つ。清濁併せ吞むことができなくて、若い二人には次第に闇に包まれるようになってしまったのです。

騙すとかうまく言うとか壊すとか無縁に光り続けたふたり


[短歌]穏やかに丸い言葉を選びつつサヨナラをした冬の入口

美しく優しく、綺麗に節目を越えていきました。でもね本当は、それはもしかすると、未練をぶつけてくれるのではないかという一縷の期待があったからなのです。冬の風はとても、冷たかったですね。

穏やかに丸い言葉を選びつつサヨナラをした冬の入口


[短歌]少年と少女は闇の真ん中で色を求めて泣いていました

自分たちの意思とは関係のないところで、さまざまなチカラによって道が塞がれてしまうことがあります。闇の向こうに圧力たち。すべてを捨てて走り出すこともできず、僕たちは空想に身を置いて、泣き続けることしかできませんでした。

少年と少女は闇の真ん中で色を求めて泣いていました


[短歌]ことばにも武器と薬があるように秋は不在を笑って泣くね

大切な人のいなくなった空間を、「いないんだ」と強く感じさせるのが秋の悪いところです。また思い出してしまった自分を笑ったり泣いたりして、夏はキーンと、秋はしんみりと、遠く遠くに想いを飛ばしてしまうのです。

ことばにも武器と薬があるように秋は不在を笑って泣くね


[短歌]君の住む街へ伝染するように言葉に添える色があります

夜中に書く手紙は情熱的になりすぎて危険ですが、えいやっと投函してしまうくらいには一生懸命だったのです。大人になって、落ち着いて、温度は調節するようにはなりましたが、(伝われ、伝われ、響け、響け)と思う気持ちは昔も今も、なのです。

君の住む街へ伝染するように言葉に添える色があります


[短歌]まっすぐをやめたら楽になるでしょう破れ教科書汚せ足跡

法律、道徳、倫理、モラル、常識、教科書、正義。カチコチに縛られて息が苦しくなりそうなとき、ふと、この世界を破ったらどうなるのだろうと考えることがあります。破ってでも痕跡を残したい出逢い。その衝動は、ルールが決めるのではなく、心がおこすのです。

まっすぐをやめたら楽になるでしょう破れ教科書汚せ足跡


[短歌]定番のデートコースで決めたこと僕は光になれなかったね

ひとつひとつは、とてもくだらないお話。でも、そんなくだらなさを積み上げて、未来をつくっていくつもりだったのです。振り返って「あの日はこんなことをしたよね」と言い合える時間は、きっと眩しくて素敵ですね。きっと眩しくて素敵だったでしょうね。

定番のデートコースで決めたこと僕は光になれなかったね


[短歌]見えなくていいのに見えてしまうから雨よ煙れよ闇になるまで

意図せずいろんなものの見えてしまうキリンは、ときに楽しく、ときに悲しくなってしまうのではないでしょうか。たとえば、もう、知らない誰かと笑う街の景色に、深い雨を願うことがあったのだとしても、それはキリンを傷付けないために必要なことだと僕は考えてしまうのです。

見えなくていいのに見えてしまうから雨よ煙れよ闇になるまで


[短歌]もう終わることに気付いているけれど「また明日」って君に言うんだ

終わりが近付いたころの乾いた笑い方。「面白くない?」「笑ってよ」と言ったところで叶うわけもなく、変わるわけもなく、溝になるばかりで、のみこんで、もっと馬鹿なことを言って笑わせようとするのですが、僕はみじめになるばかりでした。「また明日」の声だけが、むなしくさみしく響いていたこと。それはもう、最後のカーブを曲がったころのお話です。

もう終わることに気付いているけれど「また明日」って君に言うんだ


[短歌]雨がよく降ったのでしょう君のゆく道が光で反射している

たくさん苦しませて、泣かせましたね。涙で濡れた道から新しい場所へ。もうそこには、たくさんの光が射していて、君のこれからを占うように満ちているのです。

雨がよく降ったのでしょう君のゆく道が光で反射している