カテゴリー別アーカイブ: 短歌

[短歌]やわらかくしてくれるのは風じゃなく光でもなく言葉でもなく

居心地、居場所、温度、秘密基地。仮面を脱ぎ捨てて過ごすことのできる共有や共感の空間は、人生に幾度も現れるわけではない。言葉を生業にする僕が、言葉がいらないと思ったあのドアの向こうには、やわらかい空気だけが満ちていた。

やわらかくしてくれるのは風じゃなく光でもなく言葉でもなく


[短歌]入口はあって出口はないのだと若葉マークの僕らでしたね

燃え上がったころを思い返せば、その後いつ、どこでどんな風にして角を曲がってしまったのか、不思議な気持ちになってしまう。アクセルとブレーキ、そしてハンドリング。いろんな要素が必要だったはずなのに、なぜか道はまっすぐに進むのだと信じていた若葉マークのころ。今ならあの道へ、もっと上手に合流ができたでしょうか。

入口はあって出口はないのだと若葉マークの僕らでしたね


[短歌]自慢とか武勇伝とか個性とか花は静かに空を見て咲く

自慢とか武勇伝とか個性とか花は静かに空を見て咲く #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #花 #flowers #be_humble

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自分のことを「敏腕デザイナー」と自称している人がいた。たとえば僕が「明石の福山雅治です」と自称するのと同じような冗談だろうと思っていたが、どうやら真面目に書いているらしい。本当に敏腕なのかどうかは分からないが、自分のことを敏腕と書いてしまっても、それを周囲の誰も止めることはないんだな、と不思議な気持ちになった。「私は綺麗でしょう?」と言って咲く花はなく、空を見て静かに咲くのだということ。謙虚はかくも美しい。

自慢とか武勇伝とか個性とか花は静かに空を見て咲く


[短歌]カタカナは嫌いですねんいちびった人は苦手や「毎度おおきに」

オルタナティブ、キャズム、アグリー、インバウンド、アセット、エビデンス、クロージング、アライアンス、マター、コミット、コンセンサス、スキーム、プライオリティ、ブレスト、ペンディング、マイルストーンなんてカタカナを並べられると「焼飯、餃子、饅頭、焼売、団子、拉麺」と漢字を並べて応酬したくなる。難しいことはよく分からないが「毎度おおきに」という言葉の好きな僕は、根っからの商売人なんだろうとは思う。

カタカナは嫌いですねんいちびった人は苦手や「毎度おおきに」


[短歌]壊したり直したりした日々だけがとても綺麗に輝いている

背中を見せられても、追いかけて、回り込んでごめんと謝った。謝りあえるのが当然だと思っていた。壊したり直したりした日々。いつか、当たり前が当たり前ではなくなって、冷たい風が間を抜けていくようになる。「自分は悪くはない」という主張は、ただの安いプライドで、それによって大きな代償を払っていくことになった。まだ間に合った頃。あの日々だけが、とても綺麗に輝いている。

壊したり直したりした日々だけがとても綺麗に輝いている


[短歌]太陽を追いかけてゆく月として離れた部屋の汗と涙は

僕が太陽でいられるとき、月はどこかで闇を引き連れている。光は闇に、闇は光によって存在できるが、闇は光のためとも、光は闇のためとも驕らず、ただ当然にそこで役割を果たす。「僕は君のために」と思って流す汗と涙が打算的なあいだは、僕は本当の光にも闇もなれないのだろうなぁと思う。

太陽を追いかけてゆく月として離れた部屋の汗と涙は


[短歌]花の名を知らないことは不幸だと幸せそうに笑った君は

花の名を知らないことは不幸だと幸せそうに笑った君は #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #花 #flower

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花の名前をたくさん知っている人はやっぱり幸せそうだ。最近では、空や雲の名前にまで詳しい人がいる。僕は40年を生きて、いろんな人に出会い、出会うたび、僕の知らないたくさんの何かに気付かされる。知らないことは不幸かもしれないけれど、知らないことに気付けることもまた幸せで、僕たちはお互いの足りない何かを補って生きているのだということを知る。

花の名を知らないことは不幸だと幸せそうに笑った君は


[短歌]笑わせるとは笑われることじゃない舞台に削る命のカケラ

笑わせるとは笑われることじゃない舞台に削る命のカケラ #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #着ぐるみ #本番

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僕は常に笑わせると笑われるの違いを強く意識している。笑われることは簡単だ。でも、笑わせることはとても難しい。自分のことを良く見せたいと思う人間の本質を超越して、自分を落として相手の幸せに貢献する。自分がいて、相手がいるのではなく、相手がいて、自分がいるのである。笑わせるためには、想像力をフル回転させなければならない。

笑わせるとは笑われることじゃない舞台に削る命のカケラ


[短歌]繋がっていた日々だけを遠ざけて昔語りをするのでしょうか

せめて思い出の一枚にありたいと思うけれど、昔語りの場面では、上手にそこだけを回避されているのだろうか、と、自虐。同じ時間を過ごした同士も、今いる場所からは、どんな景色になって見えるのだろうね。遠ざけてみるのも人生、歌にしてみるのも人生。あれからの色々。

繋がっていた日々だけを遠ざけて昔語りをするのでしょうか


[短歌]時々は弱いところを見せたくて見せられなくて仰いだ空は

時々は弱いところを見せたくて見せられなくて仰いだ空は #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #tree #ok_to_cry

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空にだけ見せた涙の理由を後で語れば、強がりは単なる遠回りだったということを知る。それが格好の良いことだと思い込んで、素直になれなかったプライド。弱い自分を見せるのは難しいことだが、とても温かいことでもある。受け入れてくれる存在の広さ、大きさ。こんな自分でも。だ。

時々は弱いところを見せたくて見せられなくて仰いだ空は


[短歌]てっぺんに神様がいて僕たちは遠くを祈りあったのでした

観覧車のてっぺんの魔法に辿り着くまで、箱には、未来ばかりの言葉が満ちる。そして静寂。ロマンティックな永遠を誰だって一度は憧れただろうし、その永遠をずっと苦しむことになった人だっているだろう。遠く遠くを祈りあった日々はもう、遠く遠くの日々になってしまった。

てっぺんに神様がいて僕たちは遠くを祈りあったのでした


[短歌]散る前の五秒を笑いあいたいね今日の足跡ひとひらの文

得意なことが多くない僕は、せめて今この瞬間の景色と感情を言葉で表現して残せるようでありたいと願う。今日を残して、今日を重ねて、いつか散り際に、もう十分に綴ったからと笑いあって去ってゆく。目を瞑る瞬間は、笑顔であってほしい。

散る前の五秒を笑いあいたいね今日の足跡ひとひらの文


[短歌]白と黒だけが世界と決めるのはもったいないと思いませんか

完膚無きまでに他人を叩いて自分の白を認めようとする。罪人は二度とは再生してはならないのだろうか。曖昧な色のあたりを温度と呼びたい。僕はずっとそんな風に思っている。それはたぶん、ずっと許されたがっている僕自身、幾多の咎があるからだろう。

白と黒だけが世界と決めるのはもったいないと思いませんか


[短歌]五線譜にソラをたくさん描きまシたドんなミラいも和音でいよう

僕は言葉を音から先に考える。誰が聞いたら、どんな風に響くのか。音の聞こえた言葉は、理屈ではなく、感情の真ん中に届いていく。世の中には、音符にしたいものがたくさんあって悩ましい。和音ばかりは、これからもずっと。

五線譜にソラをたくさん描きまシたドんなミラいも和音でいよう


[短歌]道徳の教科書通り生きていくそれが幸せなのだとすれば

鉄の塊だって鳥になれるのだということは、常識を否定した瞬間に生まれた概念なのではないだろうか。倫理や道徳、法律やルール。破いた先にあるものを、誰だって憧れていて踏み出せないジレンマ。想像だけは自由だね。

道徳の教科書通り生きていくそれが幸せなのだとすれば


[短歌]村雨の露もまだ干ぬ傘の柄に君は何処ぞと思ひけるかな

「村雨の露もまだひぬ槇の葉に霧立ちのぼる秋の夕暮れ」という寂蓮法師の詠んだ百人一首から本歌取りに挑戦をしてみた。僕は冷たい人間だとよく言われるが、にわか雨、傘をちゃんと持っていただろうかと想像するくらいの気持ちは持ち合わせている。皆に優しくはないけれど、特別には特別であるということだ。

村雨の露もまだ干ぬ傘の柄に君は何処ぞと思ひけるかな


[短歌]空っぽにしたら世界は浮いたかい? 君のあれから僕はあのまま

「リセットしよう」だとか「友だちに戻ろう」だとか。空席には、あとにどんな人がやってきたのだろう、なんて、僕はそれを想像しないようにして過ごした。動き始めた人の背中が小さくなってゆく、僕は動かないままに。

空っぽにしたら世界は浮いたかい? 君のあれから僕はあのまま


[短歌]今日からはもう来年へ向いてゆく かくありたいと僕の足踏み

今日からはもう来年へ向いてゆく かくありたいと僕の足踏み #短歌 #短歌フォト #フォト短歌 #言葉 #詩 #さくら

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散り始めたらもう、来年へ向いてゆく桜は健気だ。僕の大好きな一本は、今年も見事な顔をして疲れた僕を迎えてくれた。誰に見られずとも、ちゃんと咲くこと。当たり前に役割をこなすことは、かくも美しく心を打つ。

今日からはもう来年へ向いてゆく かくありたいと僕の足踏み


[短歌]その傷は光の筋となるでしょう過去とおいでよ過去と生きるよ

自分に自信が持てなくて、過去に勝てる気はこれっぽっちもしない。だから、過去の話には耳を塞ぎたくなる。弱い弱い。そんな弱い弱い自分が、言ってみたいセリフを31文字にまとめてみた。いつかそれくらい、強くなれるんだろうか。

その傷は光の筋となるでしょう過去とおいでよ過去と生きるよ


[短歌]絵に描いた未来同士が重なって桜のように散ったのでした

絵に描いた餅を食えるようにしてやらなければ、「守る」なんて言葉は、ずっと遠くへ滑っていってしまう。どんな困難も乗り越えられると思った僕の青写真は、現実の風にいとも簡単にやられて、思い出だけが美しく、粉々になっていってしまったのだった。

絵に描いた未来同士が重なって桜のように散ったのでした