[川柳]試食したあとの会釈にコツがある

川柳誌ふあうすと2014年10月号の課題吟「巧み」の選者を務めた。選ぶ立場になって気付くことのたくさん、そしてますますたくさん詠みたくなるココロ。言葉を転がしてみたり言葉に転がされてみるのに秋は最適。いろんな世界を17文字と31文字で表現してみたい。以下、選者の言葉として寄稿した文章を掲載する。どの句を選んだかはどうぞ本誌をお楽しみに。

選者である僕の着想を巧みにかわした、様々な思惑に満ちた作品たちと対話させていただきました。

俳句はモノ、川柳はヒト。情景を説明して終わるのではなく、そこに存在する人の気配や考え方、表情までを伝えることが出来るとハガキの山から一枚が光り始めます。これは他の誰かも思い浮かぶかもしれないと感じた「第一着想は捨てて」みる、事実を直接伝えるのではなく「想像を生ませる比喩」を用いる、「大胆なオノマトペで物語に軽さや重さを」付け加えてみる。「捨てる」の次に表現の工夫があるとハガキを選る手は止まって、しばし想像の世界に飛んでいきます。一方、最初から言葉や表現にもたれすぎてしまうと作為性を感じてしまうので要注意。日常のなかで「見つける」、そして「捨てる」。最後に「工夫する」。この順序が感じられた作品ほど余韻が残りました。

捨てる勇気、選者を信じる勇気。選ばれることが詠む目的のすべてではありませんが、時々は表現の「巧み」で選者に変化球を投げ込んでみるのも楽しいものです。そして僕ももっと、右へ左へ大胆なボールを投げてみようと思うに至りました。選ぶ立場を経験して、詠む楽しさを改めて知ったこと。こんな機会をいただきましたことを心からお礼申し上げます。また、お逢いできますことを。

軸吟
試食したあとの会釈にコツがある